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ほぼ日刊イトイ新聞

2024-05-18

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・だいたい、「じぶんのこと」って知らないもので、
 じぶんは、どういうことによろこぶんだろうとか、
 どういうことで怒るんだろうとか、
 どういうものを好きで、どういうものを嫌いなのかとか、
 たぶん、ほとんどの人は知らないんじゃないかなぁ。

 「おまえ、甘酸っぱいものが好きなんだな」なんてね、
 他人から言われて、「あ、そういえばそうだ」と気づく。
 で、一度「そういえば」と思ったことについては、
 じぶんを理解するための資料として残ることになります。

 ぼく自身のことを考えてみると、
 いやまぁほんとに知らないですよ、じぶんのこと。
 だけど、インタビューを受けることも多かったので、
 いろんな質問をされて答えを考えているうちに、
 「そういえば」が増えていったようには思います。
 でも、正直に言うと、そういうときの答えって、
 その場で思いついたことをしゃべっているだけだから、
 その都度ちがったりもするし、忘れちゃうんですよね。

 だから、ほんとにいいのは、
 じぶんが知りたいことを、じぶんで、じぶんに訊く。
 それについて、じぶんで考えて、じぶんで答えること。
 つまりは「自己問答」がいちばんいいのだと思います。
 問う、考える、答える、新たに問う、考える、答える。
 これをひっきりなしにやっているうちには、
 「じぶんのこと」がわかるようになるかもしれない。
 でも、きっとそれはやっぱり「知らない」の循環です。
 たぶん、「じぶんのこと」についても、
 知ることができるのはほんの一部のことだけでしょうね。
 「汝自身を知れ」って、実はとんでもなくむつかしいです。

・なんでこんなことを書きたくなったかというと、
 ぼくは、けっこう泣くことが多いし、
 泣くことについて恥ずかしいとも思っていないのですが、
 じぶんのことで泣いたことって、なかったかもしれない。
 それに気がついたんです、あ、うれしいほうはありますが、
 じぶんのことで悲しくて泣いたこと、あったかなぁ、と。
 ちがってるかもしれないので、さらに自問自答してみます。
 悲しいとき、泣かずに…どうしてきたんだろう?

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
人が泣くってことも、とても奥深いテーマになりますよね。


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